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ダライ・ラマとのひととき
powerd by 楽市アド360
「ダライ・ラマの後継者は女性でもよい」とのダライ・ラマ自身の発言について、興味深いコメントが載っています。
ダライ・ラマとのひととき
http://www.voiceofindia.co.jp/content/view/1017/70/
2008/03/28 Friday 12:17:57 JST
無線を付けた男性が、スワンキーホテルの6階へと誘導してくれた。そのフロアの廊下は人々でごった返し、セキュリティが常ににらみを利かせている。
しかしいったん部屋に入ると、その雰囲気は一変した。彼は暖かな(無邪気と言いかえてもいい)笑みを浮かべながら手を差し出し、握手で私たちを迎え入れてくれた。その人こそ、ダライ・ラマ14世だ。
ノーベル平和賞を授賞したことでさらなる名声を獲得したダライ・ラマは、非暴力を訴えるチベタン・フェスティバルに参加するため、この時アーメダーバードに滞在していたのだ。
彼はくつろいだ様子でソファに腰を下ろし、腕時計にちらりと目をやると「さあ、始めましょうか」と笑顔で語りかけてくれた。私はいくつかの質問を彼にぶつけた。
「グローバル化する今の世界において、僧侶であることはどんな気分でしょう?」
彼は私の目をじっと見て、答える。
「そうですね、私は僧侶です。大勢の警察官を従えた僧侶です。でも、私は僧侶としての人生を良きものだと思っています。ぜいたくをすることはほとんどありません。毎日9時間寝ていますしね」
彼は毎日、夜7時に寝て朝3時に起きるのだそうだ。
「別のレベルで言うと、私は僧侶として、世界の60億人の人々のことを強く想っています。世界は変化の時を迎えており、人々がその変化の目撃者なのです。現在の資本主義は、19世紀までのそれとは性質が変ってきています」
そして笑いながらこう言った。
「今じゃ共産主義者だって資本主義を始めてるんですよ」
この精神的指導者の人生は、まさに波乱万丈だった。チベットの自由のために、40年間戦ってきたのだ。そしてその意志は、今も変わることがない。
彼はこれまで、チベットの自治を訴えてきた。その選択は正しかったのだろうか。
「チベットはチベット人のものです。チベットの未来は、チベットの人々のものです。私の手中にあるものではありません。紙に書いた協定が幸福を保証してくれるわけではありません」
では、彼はチベットの独立をあきらめたのだろうか。
「チベットは経済的には遅れています。しかし精神的には非常に発展しています。チベットの人々は近代化することを望んでいます。防衛と外交は別として、私たちはあらゆる面での自治権が欲しいのです。私たちは、誰からも抑圧されたり、支配されたくはありません」
彼がダライ・ラマの後継者は女性でもいいと語ったことについては、チベット人の間でも議論を呼んだ。それについても尋ねてみた。
「これまでのダライ・ラマは、すべて男性でした。今、女性のダライ・ラマが出現してもおかしくありません。女性は非常に重要な役割を担っています。女性のダライ・ラマは、男のダライ・ラマよりも魅力的でしょう。そうすれば、我々の活動はより大きな実を結ぶことができるかもしれませんよ」
彼はフェミニストなのだろうか。
「ええ、私はフェミニストですね。フェミニストであり、ヒューマニストです」
暴力がなくならない世界で、ダライ・ラマの非暴力の考え方や慈悲の心はますます重みを増している。彼は、そうした考えを世界中の学校で教えるべきだという。残念ながら、それは実現できていないように思えるが、本当に可能なのだろうか。
「はい。私も時にはかんしゃくを起こしますよ。でも心の中に悪い感情を入れることはありません。誰に会うときだって、距離感を感じることはありません。ブッシュ大統領でも、ローマ法王でも、一般の人でもね。私は誰とでも接することができますよ」
邪悪な心を持たず、分け隔てもしない。これこそが、ダライ・ラマの活動の根底にあるものだろう。この考えを、すべての人々が共有することができれば、私たちが住む世界はもっと住みやすい場所になるに違いない。
彼のアシスタントが時間を告げに来た。次の来訪者が待っているので終わりにしてくれという。私はとっさに、最後の質問をした。
「あなたの笑顔は遺伝ですか?」
彼はこらえきれないといった様子で、長い時間笑った。
「ええ、きっとそうでしょうね」
同席していた姉と兄も一緒になって笑った。弟だけは笑っていなかった。ずっと緊張していたのだ。
ダライ・ラマとの面会は終わった。でも、ダライ・ラマの笑い声は、いつまでも私の耳の中で響いていた。
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